合縁奇縁

ただの勢い。色々ランダムに思ったことだけ書いてます。ご了承ください。

映画「A.I.」を見直して思ったこと。

最近、テレビでやたらめったら映画「A.I.」がテレビで放送されてるんですよ。

オチ(氷からよみがえった時からの部分です)がやたら長くて、ジュード・ロウが演じたジゴロが素晴らしく、廃棄されたメカを見世物にするシーンはめっちゃ残酷だった。という記憶くらいしかなかったんですが。

特に、当時はキューブリックが急死してしまったためにスピルバーグが後任で仕上げたという話題ばかりだったのでそのフィルターもありで、

特にオチ部分でこれがなければなー。という感想だった・・・・と思う。

だがしかし、部分部分で見ていた内に、どーにもこーにも最初から見たくなりましてね。

だって、デイビッドがなぜこの家にやってきたのかすら覚えてなかったんですもの。

そして全編やっと真剣になってみてみました。

 

詳しいことはわかりませんが、スピルバーグがかかわってる映画全般において、前説と説明が多いと思うんですよ。

小難しいこと考えなくても安心して映画を楽しめる、いわばエンターテイメントとしての映画を作るのがスピルバーグ。

キューブリックは芸術として映画を作ることの方が多いような気がするんですよ。

見てても気軽に楽しめないし真剣になってみないと意味がわからない、

真剣になってみても結局わからず、記憶に残るのは印象が強いとこだけみたいなことも私はあるんですが。

特に2001年宇宙の旅。

これ、最後まできっちり見るのに約30年費やしました。

例のスターゲートに入るシーンからです。いつも寝落ちする。てか、眠たくなる。

旦那も同じだったらしくて最後まで見たことがなかった。

てか旦那はさらに最悪で木星ミッション会議前後でウトウトしていたらしい。

「今度こそはここで眠たくならないように二人で頑張って最後まで起きてよう!」を目標にし二人で声を掛け合い踏ん張って最後まで見たはいいんですが、「寝なかった俺らすげー!」と喜んで映画の内容とかどーでもよかったかも?みたいな感じで終了しました。

 

この映画、スピルバーグが我慢して我慢して我慢しまくって説明やらなんやらを最小にしてキューブリックの意志に近づけようと努力した結果がこうなったと見直してみて思いました。

当時の英語力の無さも自覚しまして、かなりショックも感じましたね。

頭っから説明してくれてんじゃん!

 

「相手(人間)が欲している物を与えるのがメカの仕事」

「メカが与えることによって相手(人間)の愛情が芽生える」

「ならば、相手(人間)の愛情や癒しを芽生えさせるためのメカを作ってみよう」

 

こうして作られたのがテディ、最新型のジゴロ、プロトタイプのデイビッド。

形の違いはあれど、この他に出てくるメカたちはそれぞれの役割がプログラムされていて、そのプログラムにそった行動を最後の最後までやり通す。

テディは最後の最後までオーナー(母親)から命令された子供(デイビット)の世話を焼き、

ジゴロも助けを求めたデイビッドを癒そうとし、デイビットは2000年後にプログラムされた役割を果たし期限が切れた。

 

自分が年食ったのも理由にあるとは思うんだけども、

昔見たのと今見るのじゃ印象ガラッと変わりました。

宇宙人型に進化したAIは研究用に作られたAIを元に進化していき、

デイビッドの願った母親との再会も、AIが人間のデータを集めたかったがために行った行動で、

母親の態度から何から何まで、デイビッドの記憶やプログラムに沿った行動をコピーさせただけで特にハッピーエンドでもなかったんじゃなかろうかと私は思いました。

 

最初見た時から、常々思ってたんですよ。

デイビッドの件ですけど。

可愛いつっちゃー可愛いけど、出来が悪い子ほど可愛いって良く言いますけど、

この子の態度やらなんやらって典型的な出来が悪い子ほど可愛いタイプなんじゃないかと。

テディもジゴロも何度かデイビッドに言い聞かせてるんですよ。

「頭が良すぎる」から都合のよくない相手(人間)にとっては邪魔になる。

みたいなことをですね、言うわけですよ。

テディもジゴロも「一部の特殊技能が優れているメカ」で作られた物なので人間よりもはるかにその特殊技能は良すぎるのを自覚しているからこその発言だと思うんだけど、デイビッドのその特化能力は

人間(相手)の自己満足でしか得られない物で、キーワードは「愛情(愛してる)」ですよ。

なので、愛情を得られると思った相手(人間でもメカでもいいんですが)には、愛情を振りまくし求めるし、愛情が得られない(インプットされた能力が稼働されない)時は、

爆走しパニックになりまくるメカってどーなのよ?と。

だから、デイビッドも廃棄されちゃってたわけなんですけど。

 

私には無理です。

そもそも、お金ないんで一生こういうメカとはお近づきにもなれないでしょうけども、一生死ぬまで何も成長しない子供の世話を焼き、

愛情も注ぎ継がなけれないけないメカに執着し続けなければいけない、

というのが大前提なので、可愛いけども私にはメカのメンテをし続ける自信まったくないです。

 

色々と考えさせられる映画ですが、

見る時と状況によりけりで全く感想が変わってしまった一品です。

でも、やっぱり、2000年後の話はちょっと長すぎたかなぁ・・・。

もうちょい簡潔にしていたら、もうちょいキューブリック寄りになってたかも。